スポーツ障害のひとつで、肩の痛みを引き起こす原因の44〜65%を占めています。
特にオーバーヘッドスポーツでの発生頻度が高く、野球、ソフトボール、バレーボール、水泳、テニスなどが挙げられます。

中高年では肩峰の骨棘や石灰化などの構造的問題が関与する割合が高くなります。

「インピンジメント」は“衝突”を意味し、軟部組織の衝突が起こる場所以下の3つに分類されます：
・肩峰下インピンジメント
・烏口下インピンジメント
・インターナルインピンジメント

この中で最も頻繁に起こるのが肩峰下インピンジメント症候群です。

上肢挙上90度付近で肩関節運動を行うと運動痛が生じるのが一般的です。
痛みは肩峰から三角筋にかけて生じることが多く、炎症が重度になると安静時痛も出現します。
上肢を挙上させたり、回旋や水平面運動が加わることで、肩峰下スペースに存在する組織が上腕骨頭と烏口肩峰アーチに挟まれ、圧迫や摩擦が起こります。

また、肩を上げる（外転する）ときの主働筋は三角筋ですが、補助筋として棘上筋が働きます。 棘上筋がうまく使えていないと三角筋が過剰に働き、上腕骨が上方偏位し、インピンジメント症候群につながる可能性があります。
さらに、肩甲骨の動きには前鋸筋や僧帽筋上部が関与し、僧帽筋下部繊維が拮抗的に働くことで肩甲骨の安定性を保ちます。 この僧帽筋下部がうまく働かないと肩甲骨の安定性が崩れ、肩が過剰に上がり、インピンジメントの要因となります。

急性期

安静を保ち、上肢の挙上を避けます。
骨棘が存在する場合は肩峰形成術などの手術療法が検討されますが、若年者の骨棘形成はまれであり、通常は保存療法が選択されます。

検査方法

和整骨院では以下の徒手検査を行います：

・ホーキンステスト
・ニーアテスト
・エンプティカンテスト
・フルカンテスト
・スピードテスト

また、肩甲骨の筋バランスや胸椎の可動域も確認します。

リハビリ

肩関節に負担をかけない範囲で、原因となっている筋肉や胸椎の柔軟性を高めます。

柔軟性が確保できたら、肩甲下筋や棘下筋など、上腕骨頭を下制する筋肉を選択的にトレーニングします。
腱板機能が安定してきたら、必要に応じて体幹トレーニングを行います。

特に野球、テニス、バレーボールなどの回旋動作を含むスポーツでは、体幹の柔軟性と筋力が重要です。 体幹が不安定だと肩関節に負担がかかりやすくなるため、回旋動作を含めたトレーニング指導を行うことがあります。